個人レベルの弱小マイナーでも、Equihash(エクイハッシュ/イクイハッシュ)という言葉を一度は耳にしたことがあると思います。NVIDIA系のグラフィックボード(GPU)と相性が良いため、Awesome Minerなどのマイニングソフトを使っていると、高頻度でEquihashでマイニングしていますよね。
今回は、一昔前のWikipediaではスタブ扱いされていましたが、このEquihashとは何なのかをWikipediaの記事を意訳してみたいと思います。
全く知らなかったのですが、最初から仮想通貨のアルゴリズムとして作られたものだったんですね。
Equihash(Wikipedia英語版の意訳)
Equihashはルクセンブルク大学のSnT(Interdisciplinary Centre for Security, Reliability and Trustという学術センター)が開発したメモリ指向のPoW(Proof of Work)向けアルゴリズムです。
概略
Equihashを開発したのは、ルクセンブルク大学のCryptoLUXという研究グループの一員だったAlex Biryukov とDmitry Khovratovichです。
2016年にサンディエゴで開かれたNDSSシンポジウム(Network and Distributed System Security Symposium)で紹介され、2016年春にはセキュリティやプライバシー、ASIC耐性の観点から、Equihashは仮想通貨Zcashのマイニングアルゴリズムとして組み込まれました。
ビットコインマガジンでは「CryptoLUXの研究者によると、Equihashは特殊なマイニング機器を使用する有力マイナーによるマイニングの中央集権化を退け、仮想通貨の”非中央集権化”に貢献している」と掲載されました。
Equihashでマイニングできる仮想通貨
- Zcash
- Zoin
- Zclassic
- Bitcoin Gold
- Komodo
Equihashと言えばZcash(ZEC)
Wikipediaにも書いてあるとおり、Equihashと言えばゼロ知識証明のZcashというくらい有名ですね。マイナーはよく耳にした話でしょう。
その他にも、Zerocoin系のZoin(ZOI)やZcashからハードフォークしたZclassic(ZCL, 現Bitcoin Private)にも使われています。匿名通貨のアルゴリズムに多く使われている印象です。
意外なのはBitcoin Gold(BTG)で、BTGはBitcoin(BTC)からのハードフォークですが、BTCや同じフォークコインのBitcoin Cash(BCH)が採用しているSHA-256とは違うアルゴリズムを採用しているようです。
ASICやFPGAのような特定の目的に特化した機器に対して、そのハッシュパワーの独占に対するアンチテーゼとして存在するアルゴリズムだということが分かりました。そのような背景や経緯があるので、EquihashはGPUマイナーに親しみがあるアルゴリズムだということのようです。
これからもEquihashが誕生の目的を果たす限り、私のような弱小GPUマイナーはお世話になり続けるのでしょう。
もっと詳しく知りたいときは
Equihashを開発したルクセンブルグ大学の研究グループCryptoLUXが作っているページがあったので、参考までにリンクを載せておきます。
CryptoLUX > Equihash(英語)
https://www.cryptolux.org/index.php/Equihash
フルバージョンの論文(英語・PDF)
http://orbilu.uni.lu/bitstream/10993/22277/2/946.pdf
ビットコインのSHA-256は天文学的なハッシュパワーを持つ大手マイニング会社による寡占状態のため、個人による趣味レベルのGPUマイニングはEquihashのようなニッチなアルゴリズムで楽しむのが一番ですね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。今回のEquihash以外にも、気になるものがあったら今後も積極的に調べていきたいと思います。