Electrum(エレクトラム)という名前の付いた仮想通貨のウォレットを聞いたことはあります。
Electrum公式ページ https://electrum.org/#home
Electrum XXX WalletやElectrum for XXXのような名称(XXXには仮想通貨名が入ります)で、ビットコイン以外にも色々な暗号資産で使われているローカルウォレットと呼ばれるものです。
ブロックチェーンを全て取り込むフルノードのウォレットよりも動作が軽快という特徴があり、私はMonacoin(MONA)のElectrum Monaと KOTOのElectrum for KOTOを使っていたことがあります。
どれも同じような見た目(UI)なので、汎用的に使えるソフトをカスタマイズしたものだと予想できますが、実はこれが一体何なのかをイマイチ理解せずに使っていた時期もありました。
そこで今回は、このElectrumとは一体何なのかについてを初心者向けに説明して見たいと思います。ちなみに、公式サイトにもWarningとして書いてありますが、”Electrum Pro”というのはビットコインを盗むためのマルウェア(ウイルス)とのことなので注意してください。
Electrum(エレクトラム)とは
公式サイトでは「Electrumとは」を一言で表すような言葉が見当たらなかったのですが、Bitcoin WikiのElectrumの項目にあったので意訳して載せておきます。
Electrumは、2011年11月5日に誕生したクライアントサーバーモデルで軽快に動くビットコイン・ウォレット です。
Electrum – Bitcoin Wiki https://en.bitcoin.it/wiki/Electrum
取引所で売買しているだけの間は存在すら全く知りませんでしたが、そもそもElectrumは「ビットコインのウォレット」として誕生したものだったんですね。昔からElectrumでビットコインアドレスを発行していた歴史があるようです。
これは意外に重要そうです。海外サイトで「Electrumは他に何の通貨をサポートしているの?」という質問に対して、「ElectrumはBTCのみ。他の通貨のものはElectrumのクローンだよ。」というやり取りがありました。これの意味がようやく分かりましたね。
ということで、本来 “Electrum” はビットコイン・ウォレットを指すものの、今やElectrumを基にした「各種仮想通貨のウォレット全般」を意味するほど普及している単語になっているのが現状のようです。すでに界隈では一般名詞のように使われていますね。
基軸通貨(BTC)のウォレットだけあって、対応OSもLinux・Windows・OSX・Androidと一式揃っています。
GitHubでソースも公開されていて、利用条件の緩いMIT Licenseということもあり、ビットコイン以外にも多くの仮想通貨がクローンを作成してウォレットとして利用しているようです。
electrum – GitHub https://github.com/spesmilo/electrum
それでは次に、Electrumの特徴について書いてみたいと思います。使っていてサクサク動く軽さは分かりますが、私はガチHODLの保管専用にしか使っておらず、残念ながらElectrumに用意されている色々な使い方には理解が乏しいです。普通に送受信する以外、何か特徴はあるのでしょうか。
Electrumの特徴
Electrumの特徴ですが、長い歴史があり多くの開発者が手がけてきただけあって、単なるウォレット機能だけでなく想像以上に色々と特徴があるようです。
これもBitcoin Wikiに羅列されていたので意訳しておきます。
- 暗号化されたウォレット:ビットコインの秘密鍵の入ったファイルはパスワードで保護され、利用者のPCに残ることはありません。
- 決定論的な鍵生成:もしウォレットファイルを無くしても、シードを使ってリカバリーすることができます。自分自身のミスからも守られています。
- すぐに使えるインスタント機能:デフォルトでErectrumはブロックチェーンをダウンロードしません。サーバーに必要な情報をリクエストするだけなので、遅れもなく常に最新の情報を確認できます。
- ローカルでトランザクションに署名:自分の秘密鍵をサーバーに送らないので、自分のお金をサーバーに託す必要はありません。
- コールドウォレット:秘密鍵をオフラインのままにすることもでき、オンラインは閲覧専用にすることができます。
- マルチシグ:仮想通貨を利用する際にマルチシグにすることができます。
- ハードウェアウォレットとの統合:多くのハードウェアウォレットとElectrumを接続することができます。
- 冗長性:特定のサーバーのみに接続されるわけではなく、サーバーも利用者のことを知る必要がありません。そのため、一つのサーバーがダウンしても、利用者には影響ありません。
- No single point of failure(NO SPOF): サーバーのソースはオープンソースでのため、誰でもサーバーを運営することができます。また、秘密鍵は他のウォレットにインポート・エクスポートすることができます。
- ファイアーウォール・フレンドリー:利用者はポートを開放する必要なく、シンプルにサーバーから情報を更新するだけです。
- フリーソフト:誰でもソースコードを確認できます。
- アドオン:サードパーティ製のプラグインも利用できます。
Electrum – Bitcoin Wiki https://en.bitcoin.it/wiki/Electrum
利用者としては意識しなくて良い技術的な話も多いですが、セキュリティ面や機能性においては相当作りこまれているようです。まさに「初心者から上級者まで使えるウォレット」ですね(どこかの海外サイトに書いてあった受け売りです)。
私はElectrum MONAでハードウェアウォレット(Trezor)と連動させている程度で、このアプリケーションのポテンシャルを全く有効活用していなかったようです。とはいえ、現状で困っていることもないので、知ったところで何も変わらないような気もします。
Electrum(クローン)を利用したウォレット
最後に、この高性能なElectrumのクローンを含むウォレットのある通貨を確認しておきましょう。メジャー通貨から草コインのようなアルトコインまで幅広く使われていて、ちょっと調べただけで以下のウォレットが確認できました。
- Bitcoin(BTC)
- Bitcoin Gold(BTG)
- Bitcoin Private(BTCP)
- Litecoin(LTC)
- Dash(DASH)
- Monacoin(MONA)
- Verge(XVG)
- KOTO
これ以外にも、「通貨名 electrum」で調べれば、その通貨向けのElectrumが存在するか否かはすぐ分かります。
スクラッチで作る余力のないプロジェクトやウォレットに多様性を持たせるという観点から、Electrumはプラットフォームとして非常に貢献している汎用的なソフトウェアということが言えそうです。
最後に
Electrum自体はなかなか優秀なアプリケーションであることは理解しましたが、やはりUI・UXもユーザーブレンドリーとは言えず、私のような技術分野のド素人には使い勝手が良くないと感じています。
これから分かりづらいユーザビリティが洗練されていけば、暗号資産の技術に詳しいわけではない普通の人も使える可能性が高いウォレットなのでしょう。業界のさらなる普及に向けて今後の発展に期待ですね。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。この記事がElectrumの理解に少しでもお役に立てば幸いです。